寄稿集_「私の母」体験談 /はっぱちゃんより

私の母は全身エリテマトーテスで亡くなりました。体験記で亡くなった人を書くのはどうかと思いましたが、誰かに聞いて欲しかったのです。全身エリテマトーテスでは、亡くなる人は殆ど居ないそうです。

今年の3月ごろから食欲がなくなり、痛いところが毎日転々としているようでした。いろんな病院へ行き、色々調べてもらっても、何も体の異常はない。精神的 なものと診断されました。そうして診療内科へ行き、うつ病の薬をもらい、7月頃から副作用の少ないうつの薬を飲んでいました。が、やはり症状はあまりよく ならず、10月初めに入院させてもらいました。

入院してから、調子がいっそう悪く、夜も寝られないぐらいつらく、さらに食欲もなくなりました。心療内科の先生も「おかしい」といい、うつの薬をやめ、そ の病院の内科の先生にもみてもらいましたが、その内科の先生も何ともないといいました。が、血液の酸素が測れなくなり、意識障害になりました。心療内科の 先生の薦めで違う病院に転院になり、その病院で意識障害は治まりましたが、なんの病気?と言う事が分からず、毎日毎日いろんな検査をしました。

やっと病名が見つかりました。精神の病気ではなく、膠原病(全身エリテマトーテス)と診断されました。普通、赤い斑点が出来るそうですが、全身エリテマ トーテスの人の20%の人は斑点が出ないみたいで、お母さんは斑点が出ず、病名がわかりずらかったそうです。やっと、私たち家族は病名が分かり、やっとき ちんとあった治療をしてあげられると思いました。

それから、強いステロイドを3日間投与しました。副作用は胃潰瘍とかむくみとか言われていました。が、妙にお腹を触ると痛がりました。先生に言っても胃が 荒れてるのでしょうと胃薬を点滴されました。それでも、すごく痛がり呼吸困難になり、CTを撮りました。結果、急性膵炎でした。点滴の方法か動脈からカ テーテルを入れ膵炎に薬を直接かけるという治療法があり、動脈入ってるときに動かすと、血があふれ出し危険と言われたので、点滴の治療を選択しました。 が、次の日点滴では追いつかず、動脈からでないと危険な状態と言われ、しぶしぶOKを出しました。

足の付け根にカテーテルを入れるのは、足を動かすのは危険ということで意識を落とすと言われました。戻ってきた時は、人口呼吸器をつけていました。私たち は、うつの副作用の少ない薬でも意識障害が起きるのに大丈夫なの?と不安がありました。カテーテルを動脈にいれる手術をした後、先生が危険な状態、今日も つかどうかと言われました。

私たち家族はびっくりで、言葉も出ませんでした。なんで?ステロイドさえしなければ、こんな副作用にならなくてすんだのに、膵炎になるなんて聞いてないし、まさか死の危険にさらされるなんて、まったく聞いてないよ。なんで?といろんな事が頭の中ぐるぐる回りました。

ICUに入り、その日は居てくれとの事で、病院にいました。2時頃容態が落ち着きました。私たちはほっとしました。それから、1週間ほど、膵炎の治療をし ました。やっと膵炎の数値が下がり、次は、膠原病の治療と言う事で、血漿交換・人工透析を足の付け根から入れ、治療しました。2回しましたが、何も良くな りませんでした。

そうして、落としてた意識を戻そうとしました。私たちはやっとお母さんとしゃべれると思い、ドキドキしていました。が、意識戻ってきません。自分で呼吸を するのですが、浅すぎて上手に出来ず、体も黄疸が出始めました。熱も下がりません。先生があと一つチャンスをくださいといい、抗がん剤の一つで全身エリテ マトーテスに効くのがアメリカで発表されたという事で、それを試してみますと先生がいいました。が、これも全く効きませんでした。もう先生も手の施しよう がなくなりました。 肺炎になり、最後は白血球30個しかなくなり、最初の病院を入院してから、わずか2ヶ月でこの世を去りました。

最初入院したとき、年明けには退院してるだろうと思ってたのに。ほとんど、何も私たちに伝えることが出来ず、居なくなってしまいました。3月ごろからいろ んな病院にいってたのに分からず、もう少しきちんと調べてくれたら・・・どっから間違ってたの?なぜ何にも治療が効かないの?と色々な感情がめぐりまし た。呼吸器をとって、こんなに痩せていたことを始めて知りました。

膠原病は怖い病気です。調子がいいからと過信しないで、ちゃんと病院いって下さいね。私のお母さんみたいにならないように、お祈りしてます。